9月11日。
最高の友人達や憧れの先輩からのプレゼントと暖かい祝いの言葉。
それは子津忠之介にとって最高の誕生日だった。
PRESENT
「おはよ、子津クン。昨日は良い誕生日だった?」
朝練の為に部室でユニフォームに着替えていた子津に話掛けたのは同じ1年の兎丸比乃だった。
三年たちが引退したせいか部室は今までよりかやや広く感じられる。
「おかげ様で最高の誕生日だったっすよ、ありがとうっす」
子津は本当に嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「ところでさぁ、子津クン。みんなにお礼の準備とかはしてるの?」
兎丸がオズオズと子津に尋ねた。
「今、考えてるんすけど何がいいっすかね?」
子津の笑顔は変わる事は無い。
「あのねボク達の分は良いからさ、一番大事な人にお礼しなくちゃね」
兎丸の言葉を助長するように猿野がつづける。
「そうだぜ、子津ッチュー。一番大事な人を忘れたら駄目だ」
「一番……大切な人?」
子津が不思議そうな顔をする。
「いや、だからそのお前が一番憧れてるあの人だよ」
猿野は少し焦って挙動不審な態度をとり始めた。そんなところへ子津はポンと手を叩いて何かを思い出す仕草をした。
「猿野君自分のが無いんじゃないかって不安なんすね。大丈夫っすよ、ちゃんと猿野君にも用意しておくっすから」
こんなにも鈍感で素直な子津に兎丸の表情は次第に苛立ちの物へと変わっていった。
「もうっ、鈍いんだから。キャプテンだよ。牛尾キャプテン」
兎丸は子津に念を押すように言った。
子津は「えっ」と声にだし、みるみるうちに顔は真っ赤に染まっていった。
「そっ、そんな、一番大事な人だなんて……
僕はただ憧れてるだけっすから」
「その憧れのキャプテンにお礼しなくちゃ駄目でしょ」
兎丸が少しきつめに言った為か子津が少し圧倒された。
「まぁ、俺の言うとおりにしておけば間違いねぇから安心しろ」
猿野が偉そうに腕を組んで言う。その横で兎丸がニッコリと微笑む。
「猿野の兄ちゃんの言う事なんて信用できないと思うけど僕も手伝うから安心してね」
兎丸は子津の肩をポンと叩き「部活の後、残ってね」と言い残し部室を去って行った。
部活が終了し、子津が部室を出る頃には辺りはすっかり真っ暗になっていた。
なんだかんだと兎丸や猿野にいたずらされた所為もあったのだが……
とにかく、今はこれからすぐに牛尾の家に行かなくてはならなかった。
猿野たちに施されたいたずらは恥ずかしくて顔から火が出そうな物だったが、キャプテンなら絶対に喜ぶからと言う言葉を信じてただひたすらに、牛尾の家へと向かっていった。
ぴんぽーん。
子津は牛尾の家をドアのチャイムを鳴らした。
インターホンからは「はい、どちら様」という牛尾御門その人の声が聞こえる。
「あっ、あの僕十二支高校野球部の子津といいます。御門先輩はご在宅でしょうか」
少し、緊張の所為か舌が上手く回らずしどろもどろになりながら子津はインターホンに向かって話し掛ける。
「あぁ、子津くんか。ちょっと待ってね今玄関に行くから」
牛尾がその言葉を残して程なくして牛尾の家の玄関は開いた。
「何の用だい、子津君」
牛尾は微笑を浮かべ優しく問いかけた。
子津は顔を真っ赤にして少し俯きながらゆっくりと手首を牛尾の目の前に差し出した。
「あの、誕生日のお礼っす。猿野君たちがこうするのが一番いいって言ってて。それで僕……」
最後のほうは恥ずかしさで上手く言えてなかった。そんな子津を見てすっかりご満悦な笑顔を浮かべた牛尾はぎゅっと子津を抱きしめた。
「ありがとう、大事にするよ」
その後の事は二人しかしらない。
後日分かった事だが、9月11日の放課後、猿野と兎丸を校舎の裏に呼び出していた牛尾を見た人が居たとかいないとか。
それもすべて神のみぞ知る。
ここまで読んでくださって有難うございました。如何でしたでしょうか。
子津の誕生日に出遅れ、それでも何かやりたいという熱い気持ちを形に
ところでこれの続きを読んでみたいとおっしゃってくださる方はどの位いらっしゃるのでしょうか
ここは無料サーバーなので裏とかは出来ないので本という形になってしまうのは免れないのですが、その場合は最初から全て書き直し最後の最後まで頑張るつもりではおります。
もし、読みたいなんて言ってくださる心優しい方がいらっしゃいましたらBBSかメールでご一報くださると嬉しいです。
それではよろしかったらまた次もお付き合いくださいませ。