僕を好きでいてくれる人がいる……
それでも他の人を想ってしまう。
僕はなんと欲張りなのだろう。



僕の欠片<2>



「司馬君、頑張ってるようだね。セカンドへとポジションが変わって慣れない事もあると思うけど君なら大丈夫だから」
突然声をかけてきたキャプは僕にむかって微笑みかける。
いつも恥ずかしくて下を向いてしまう僕にも毎日の様にこうやって声を掛けてくれる。
自分の内面をさらけ出すのが恐くて心からの笑顔を見せた事のない僕にとってキャプは憧れだ。
いつだって微笑んでみんなに優しい言葉をかけてやれる。
人は、自分に無い物に憧れるのだ。
いつしかキャプは自分の世界のほぼ中心に位置するようになった。
それが一生届くことの無い想いだったとしても見ていられるだけで幸せだったから。




練習を終えて、部室から出るとまだグランドの照明がついているのが分かった。
僕がグラウンドの方へと行くと、人影が見える。
キャプと子津だ。
ここのところ二人はよく一緒にいる。
子津と一緒にいるキャプは、僕たちに見せた事のないような顔をする。
その笑顔、その感情が僕に向けられた物だったらとなんど思ったことだろう。
それでも、その笑顔を見ていられるのは喜びだったんだ。
それだけでよかったんだ。






でも……







もう、お終いにしよう。
兎丸の為に……



違う。



自分自身の為に終わりにするんだ。